自衛官に特有の離婚問題

代表 弁護士 亀石倫子4夫婦の一方または双方が自衛官である場合、離婚をするにあたって考えなければならない特有の問題があります。

自衛官は国家公務員ですので、一般的に収入や地位が安定しており、退職金や年金が多いという特徴があります。国家公務員の平均年収は約663万円というデータがあり、また、艦艇勤務の自衛官には危険手当が多くつきます。特に、海上自衛隊や航空自衛隊に勤務する自衛官の場合、この危険手当が大きいようです。

このために、離婚の際に慰謝料や財産分与などが高額化したり、財産分与が複雑化して紛争となりやすい傾向にあります。
他方で、自衛官の相手方との間で金銭の支払約束ができた場合には、実際に回収できる可能性が高いことになります。

特に気をつけるべきポイントを見ていきましょう。

1.離婚事由

相手方が離婚に同意していない場合、離婚するにあたっては、「離婚事由」が必要となります。不貞行為(不倫・浮気)や暴力などのわかりやすい離婚事由がない場合は、婚姻関係が破たんしていることのあらわれとして、一定の期間別居していることが問題となります。

ところが、自衛官の場合、部隊によっては一度訓練に出ると数週間から1ヶ月程度は帰宅できないことがあり、特に海上自衛隊や海外派遣の場合は、数ヶ月間戻ってこられません。このような場合は、自衛官という職務による別居生活ということになりますから、別居が「婚姻関係が破たんしていることのあらわれ」といえるかどうか、一般の離婚と比べて、離婚事由の判断が難しくなることが予想されます。

2.退職金

将来の退職金が財産分与の対象となるか問題となりますが、近い将来に退職金が受け採れる可能性が高い場合には、退職金が財産分与の対象となります。
問題は、何年先の退職金であれば財産分与の対象になるのか、退職金のうち、いくらを受け取れるのか、いつ受け取れるのか、といったことです。
自衛官の場合は、退職金を受け取れる可能性は高いので、退職するのが離婚の10年以上先であっても、財産分与の対象となる可能性があります。

国家公務員の事案で、夫が勤続年数27年で、9年後に定年退職するというケースで、夫に対して「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と命じた裁判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。

3.年金

自衛官の場合、厚生年金(これまで公務員は共済年金に加入していましたが、平成27年10月から厚生年金に統合されました)が財産分与の対象となります。

 

このように、夫婦の一方または双方が自衛官である場合、離婚にあたって考えなければならない特有の問題があります。
知らずに不利な条件で離婚することがないように、ぜひ離婚問題を専門とする当事務所にご相談ください。


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