商社勤務に特有の離婚問題

代表 弁護士 亀石倫子3夫婦の一方または双方が商社に勤務している場合、離婚をするにあたって考えなければならない特有の問題があります。
商社に勤務している場合、平均年収が高い傾向にあり、総合商社の平均年収は約1200万円といわれています。大手商社の場合、それ以上の年収を得ることも珍しくありません。
収入が安定しているうえに、平均年収や退職金が高いため、慰謝料や財産分与などが高額になったり、財産分与が複雑になり、争いになりやすい傾向があります。

特に気をつけるべきポイントを見ていきましょう。

1.財産分与の割合

一般的な夫婦の離婚の場合、財産分与の割合は基本的には2分の1ずつですが、夫婦の一方が商社勤務で高収入の場合は、その割合が修正されることがあります。

例えば、医師の事案ですが、「夫が医者として病院を開業し、1969年当時の年収が1億円を超え、かつ1億円を超える資産を保有している事案で、2分の1を基準とすることは妥当性を欠く」として、妻に2000万円の財産分与しか認めなかった裁判例があります(福岡高裁昭和44年12月24日判決)。

2.退職金

将来の退職金が財産分与の対象となるか問題となりますが、近い将来に退職金が受け採れる可能性が高い場合には、退職金が財産分与の対象となります。
問題は、何年先の退職金であれば財産分与の対象になるのか、退職金のうち、いくらを受け取れるのか、いつ受け取れるのか、といったことです。
大手商社に勤務している場合は、退職金を受け取れる可能性は高いので、退職するのが離婚の10年以上先であっても、財産分与の対象となる可能性があります。

国家公務員の事案ですが、夫が勤続年数27年で、9年後に定年退職するというケースで、夫に対して「国家公務員退職手当法に基づく退職手当の支給を受けたとき、550万円を支払え」と命じた裁判例があります(名古屋高裁平成12年12月20日判決)。

3.その他の財産

①ゴルフ会員権

商社勤務の方のなかには、ゴルフを趣味にされている方も多いと思います。ゴルフ会員権を持っている場合、以前に比べて価格が下がっているとはいえ、数十万円から場合によっては数百万円するものもありますので、財産分与の対象となる可能性があります。

②株、高級車、家具、宝石など

商社勤務の方は、株式などの有価証券、輸入車などの高級車を所有している場合もありますし、高価な家具や食器、高価な宝石などを所有している場合もあるでしょう。これらの物についても、財産分与の対象となる可能性があります。

 

このように、夫婦の一方または双方が商社に勤務している場合、離婚にあたって考えなければならない特有の問題があります。
知らずに不利な条件で離婚することがないように、ぜひ離婚問題を専門とする当事務所にご相談ください。


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